J12・・・ヤタガラスの助け・・・
神武らは、ようやくに、内陸部に向け出発しました。
しかし山道が険(けわ)しくて、道を探せど見つかりません。
困っていた時、神武の夢に、アマテラスが現われました。
「今、頭八咫烏(ヤタガラス)を遣(つか)わすから、
これを先導に、山を越えなさい」
すると、ヤタガラスが舞い降りてきました。
神武は、喜び申されました。
「烏(からす)が来たのは、夢のお告げの通りだ。 ああ偉大なり」
解説・・・
古事記では、アマテラスでなく、高木神が言ったことになっています。
J13・・・日臣(ヒノオミ) の活躍・・・
こうして山を越える時、大伴(おおとも)の先祖の日臣(ヒノオミ)が、
大来目(おおくめ)を率い、大軍の大将の役目を任されました。
それでヒノオミは、山を踏み、道を掻き分け、カラスを仰ぎ追いながら、
遂に大和の近く、即ち、宇陀(うだ)の下県(しもつこおり)、
穿(うかちの)邑(むら)に到着しました。
神武は、日臣(ヒノオミ)の活躍ぶりを、褒め称え、
「山越えの功、見事なり。本日よりは、道臣(ミチノオミ)と名を名乗れ」
解説・・・
この辺りは、日本書紀も、古事記と、ほぼ同じストーリーです。
ただし、古事記では、まず吉野川の河尻に到達し、その後、
宇陀(うだ)に到達しています。私は、古事記のルートの方が好きです。
穿(うかち)は、宇陀郡宇賀志村のことです。