宮崎の人
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がんばれ宮崎

みやざきWEBチャンネル TOP 宮崎の人山道義孝さん

株式会社セプテーニ・ホールディングスは、ネット広告事業を中心にインターネットマーケティング全般の支援を手がけるグループです。


「波乱万丈? ジェットコースターのような人生かも」

吉田: ご出身はどちらですか?

野村: 私は鹿児島生まれの宮崎、日向育ちです。小学校は日知屋小学校に通いました。今でも校歌を歌えますよ(笑)。 中学・高校は日向学院に進学し、下宿生活をしながら学生生活を送りました。

吉田: 日向学院と言えば、お坊ちゃまの学校というイメージがありますが?

野村: 私の実家はそれほど裕福ではなく、私学を卒業させてもらえた事は、ある意味奇跡に近いんじゃないかと思っているくらいです。なので高校卒業時、大学進学についても非常に悩んだのですが、学費などこれ以上、親に迷惑をかけられないという思いから、2年間で卒業し早く社会に出られる専門学校に、新聞奨学生として進学しました。

吉田: 新聞配達をしながら専門学校に行かれるなんて、すごいですね!

野村: なかなか厳しい学生時代でした。毎日の勉強はもちろんの事、資格も取得しなければなりませんから。

吉田: では、お仕事の経歴は?

野村: 卒業後は、大手印刷会社に入社しました。入社したばかりの若造であった私でも、複数のプロジェクトに参加させてもらい、おおいに鍛えられました。しかし、何年か働くうちに大企業で働くメリットを知る反面、自分の中の「働き方」というものに対する考え方に変化が生じ始め、更に成長出来る次なるステージを求めて、ある電子関連会社に転職しました。
 そこでの主な業務内容は工場で電子基板を作るというものでした。何年か働いたある日、私のもとに役員昇進という話が舞い込みました。役員昇進の話は大変魅力的なものでしたが、役員になるという事は、この会社に骨を埋めるくらいの覚悟がいると感じました。非常に悩んだのですが、役員昇進の話を断り、この会社を去る事を決意しました。

吉田: 次の職場は決まっていたのですか?

野村: いやいや、突然の話でしたし何も決まっていませんでした。そんな時に、当時毎月購読していた雑誌を読んでいて、あるベンチャー企業の求人募集が目に入りました。もともと、ベンチャー企業への興味もあったので、財務担当としてその会社で働く事になりました。しかし、入社後色々な書類を調べる内に、その会社が赤字だらけのとんでもない会社だという事がわかったんです。でも、ここまできて逃げるわけにもいかない。それからというもの、銀行や商社に、必死に資金調達や出資のお願いをし続けて、ようやく会社も順調に持ち直し始めました。ところが、私の上の社長・会長が金銭的にルーズで立ち行かなくなり、とうとう会社が破産してしまいました。それにより、私自身も金融機関の連帯保証人になっていたので、多額の借金を背負う事となり、その上勤めていた会社までなくなるという事態になったのです。しかし当時、会社に理解を示し、応援してくれたそれまでの出資者の方々が心配して、親切に就職先を数社紹介してくれました。そのひとつが、今私がいるこの会社だったんです。

野村: 現会長の七村との間で、今でも笑い話に上がるのですが、私が初めて当時の七村と面接で会った際、「関西弁で圧迫面接をする嫌な社長だなぁ。」と、実は最悪の第一印象だったんです(笑)。その時に、次にもう一度会う約束をして帰宅したのですが、家内に「どうだった?」と聞かれて、「だめだ、あの社長、ああいうタイプ苦手なんだよ」という話をしたんです。それなら、早めにお断りしたほうが良いという事で、翌朝、電話で辞退願いの連絡をしました。一度は電話を切ったのですが、5分後にまた電話がかかってきて、「まあ、次の約束も決まっている事ですし、もう1度会いませんか」と言われ、確かに約束は約束ですから、夜、七村と2人で3〜4時間飲みながら再びじっくりと話をしたんです。すると、実は七村が投資家と経営者と従業員、3者の幸せを追求し、本当に会社の事を真摯に考えているという事が分かったんです。こんなにまじめな経営者は珍しい、この人と一緒に仕事がしたいと強く思い、考えは一変、今の会社に入社を決意したんです。

吉田: 伺ってますと、波瀾万丈な人生ですね!

野村: そう!ちなみにうちの家内は私のことをジェットコースターって呼びますよ(笑)

「今のお仕事の内容は?」


吉田: 御社の事業内容をわかりやすく教えてくださいますか?

野村: セプテーニ・ホールディングスは、ネット広告事業を中心にインターネットマーケティング全般の支援を手がけるグループです。グループ全体で約520人の従業員がいます。

吉田: 広告と聞くと、テレビやラジオといったイメージが強いですが、近年は急激にネット広告が伸びてきてますね。

野村: そうですね、私たちのクライアントの特徴は、「費用対効果」を重視したセールスプロモーションが殆どだという点です。例えばテレビCMを見て、消費者がその商品を購入したとします。しかし、どれだけの人がそのテレビCMを見て商品の購入に至ったのかを数字にして知る事は出来ませんでした。ネット広告の特徴はその効果測定が明確に出来るという点です。硝子張りの様にその広告の効果を数字として知る事が出来るのです。近年、テレビやラジオなどネット以外の4媒体の広告収入が苦戦しています。そんな中、私はネット広告だけがこの先も成長し続けて行くだなんて思ってはいません。これからは、ネットとネット以外の4媒体の、本当の意味でのクロスメディア展開が必要になってくると考えています。


吉田: 御社のようなネット専業の広告代理店(以下、専業)以外に、大手の総合広告代理店(以下、総合)でも、ネット広告の取り扱いはあるのですか?

野村: 取り扱っています。しかし、総合代理店と専業代理店の前月比を比較すると、専業代理店の方が20〜30%上回ります。総合代理店では、ネット以外にテレビCMなど、主にブランドイメージの確立を目的としたビジネスを展開しています。CMを企画し放映する。そして、その会社や商品の知名度が向上した事が終着点となります。しかし、ネット広告の場合は広告を出した後の方が手間を要します。先ほどお話ししたように、効果測定を分析して、広告を見た消費者が実際どこで購入をしたか等、多量のレポートをクライアントに提出し、毎月の報告会等、きめ細かなケアが必要となるのです。今はもう完全にコンサルタントと一緒ですね。そうしないとお客さまに使っていただけないんですよ。弊社のような専業代理店には昔からのノウハウの蓄積等もありますが、ブランドイメージの確立を目的としたビジネスを中心として来た総合代理店には、費用対効果の関係等もあり、そこに人員を裂くことが難しいのです。

吉田: 逆に、そんなに大きく広告を打てない中小企業にとってはネット広告ってすごく大きな味方になってくれるんですね。

野村: 中小企業はもちろんですが、当社にはナショナルクライアントと呼ばれる大手企業にも多数ご利用をいただいています。ネット広告に限っては、企業の広告や広報の部署以外に、販売促進のセクションから、セールスプロモーション(以下SP)として予算が出るクライアントも多くいます。

吉田: ただ流すだけのCMよりもアフィリエイトのような、後で集約しやすい、数字が目に見える広告メニューの方がクライアントのニーズが多いんでしょうか?

野村: アフィリエイトの良い点は、お客様のリスクが少ない点です。中にはアフィリエイトだけで月間1千万円以上使われるクライアントもいます。1千万円の根拠が、例えば見込客を1人1万円かけて取ってもペイが可能だという過去のデータを基に1万円と設定するのですが、もちろん500円という場合もあります。そうすると、アフィリエイトというのは実は予算が青天井なんです。そういう意味ではクライアントにリスクは無いと言えますね。
   アフィリエイトの全てが良いというわけではありませんが、成果があった分だけお金がもらえるという意味ではSPには究極なのかもしれないですね。

「宮崎について語ってください」


吉田: お仕事の話はこれくらいにしまして、宮崎のことについて語りたいと思います。
 宮崎のご出身で現在は県外在住の野村さんからご覧になった宮崎というのは、どのようなイメージですか?

野村: まさに『宝の山』だと思います。まずひとつは温暖な気候です。そして海と山があり、平地もしっかりとある。あんなにバランスが良く恵まれた土地は滅多に無いと思うんです。私の実家のある日向市も、関東からのリタイヤ組が結構住まれています。私たち夫婦も将来は絶対に日向に住みたいと考えています。宮崎気質の、のんびりとしてるというのは、仕事だとマイナスかもしれないけど、住むという意味では非常に良いところだと思いますね。
   だけど!これはいただけないというところもありますよ。例えば、何かの雑誌で宮崎が自己破産率が全国で2位だという記事を読んだ事があるのですが、あれはショックでしたね。あと、男で働かないでパチンコばっかりやってるヤツが多いような気がします(笑)。

吉田: 宮崎は景気が停滞して、働き場所が少ないというのも問題なんだと思います。東京は新しいビルがどんどん建っているし、再開発なども盛んで、とっても景気が良いと感じます。

野村: 私は、東京も決して景気が良いわけではないと思いますよ。いざなぎ景気を越えたと良く言われますが、バブル以前を含めた順調な景気回復ではなく、企業が相当体力を圧縮しながら利益を出している様な感覚があります。タクシーの運転手さんに聞くと一番わかりやすいですよ。私はどの地方に行っても必ずタクシーの運転手さんに景気を聞くのですが、決して良い感触では無いですね。

吉田: では宮崎まで景気が上がってくるなんて、まだまだ全然見えませんね。

野村: 私は行政の専門家ではないのでよくわかりませんが、何もかも宮崎に誘致すれば良いというわけでは当然無いでしょうし、宮崎の地理的なものや、特性を踏まえて何を産業として引っ張っていけば良いのか、この『吟味』だけだと思いますね。
   我々経営者というのは、与えられた環境、今ある人・物・金で、最大限のパフォーマンスを出すのが仕事なんですよ。うちのグループの若い経営者たちも「いや、あれがあれば」とか「もうちょっと人がいれば」とかいう者がいますが、そんなのを全部与えられてやるんだったら、誰でも出来るって言いたくなります。
じゃあ宮崎の景気を良くするとか、宮崎の産業をどうするかと言ったときに、今の宮崎の環境にあるもの、例えば東京から離れている点や県北と県南の交通の便が悪い点等、色々な要素がある中で、今の持ち駒の中で何をやるのが一番良いのかを皆で考えることだと思います。そういった意味では東国原知事と言う人は、まず宮崎はスポットライト浴びさせなきゃいかんということで、彼自信が広告塔になった。もともとは素敵な県ですからね、それによって改めて観光地としての人気が出てきたという意味では良いのではないでしょうか。後は皆で知恵出し合うことですね。

「宮崎の活性化と会社の活性化は」

吉田: 宮崎の活性化も会社の活性化も似てるんですね。

野村: 私は、まったく同じ事だと思います。無いものねだりをしてもしょうがないじゃないですか。与えられたものの中で地域性を出すというか。別の地域で当たっているものを持ってきたところで、一過性のもので終ってしまうと思うんです。
   ただ、これは私の持論なんですが、地方自治が会社の経営と1個だけ違うのは、会社というのはパブリックなものですが、そうは言っても社員たちはある意味、自らのために働いていますよね。自分達が稼いだお金を分配しているというか。だけど、役所関係の人が一番大変なのは、基本的に人のお金を人のために使うという点だと思うんです。これほどモチベーションの上がらない仕事ってないんですよ。(笑)


吉田: 考えてみたらそうですね。(笑)

野村: 自分に置き換えてみてください。自分のためではなく、人のために人のお金を一生懸命使う、これって本当に大変な事だと思います。その成果に関しても、「ちゃんとできて当たり前」を求められるんです。だから、地方自治に携わっている職員の方々にも何かしらのインセンティブを与えてあげてほしいのです。インセンティブという表現が正しいのかは分かりませんが、金銭でなくても気持ちで良いと思うんですが、知恵を絞ってみてほしいです。僕は最初にそこに気付いた人が、地方自治を成功させるのではないかと思うんですよね。


吉田: そこを東国原知事にやって欲しいと?

野村: 東国原知事は今非常に脚光を浴びています。そして、その裏にはそれを陰で支えている職員の方々がいます。でも知事も、いつまでも知事ではないかもしれない。例えば、そうなった時に、今職員が県民のためにやっていることはこんなに素晴らしい事なんだと、一人一人に体現させて欲しいと思うんですね。民営の会社は利益を出せばそれがモチベーションになり、評価になります。だけど、公務員はなかなかその部分が得られないことが問題だと思うんですよね。

吉田: さすが、これは民間ならではの発想だと思います。最後に、野村社長がふるさと宮崎のために何かしたいとか、そういった思いがありますか?

野村: 今自分が出来る事といったら、ことあるごとに各方面の人に宮崎のことをPRすることでしょうか。そして、自分の実業を頑張ることによって、宮崎のイメージも上げて行きたいと思っています。

吉田: 宮崎県出身者の方が全国を舞台に活躍されるというのは、宮崎在住者にとっても心強いものです。これからもご活躍をお祈りしています。今日はありがとうございました。

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