子供の頃、テレビで国会中継をやっていて、父親がずっと見たりしていると、なんでこんなつまらないものを延々とやっているのだろうと思ったことがある。
国会議員が原稿を見ながら、難しい言い回しで進行していく国会の中継は、無駄だと思ったこともあった。
昨年、口蹄疫発生以後、国会中継が少なくなったような気がしている。衆議院の農林委員会で宮崎選出の江藤拓議員が厳しく政府を追及している場面を知らなかった人は多い。
20日の佐藤正久議員(髭の隊長で有名な自衛隊出身の参議院議員、福島出身)の国会での質問。首相の答弁のひどさ、事務方に一々耳打ちされないとしゃべれないこの人は政治家としての資質もないのではないか。
佐藤議員は質問の冒頭、韓国の国会議員が北方領土を視察することについて、ちょうど来日する李大統領にしっかりと抗議するべきとしたが、首相は「事実を確かめ、その後しかるべき対処をおこなう」とワンパターンの常套句を持ちだした。佐藤議員はさらに抗議をしてくださいね、と念を押したが、事実が重要なので確認したらしっかりと対応する、とあいまいな態度であった。
さらに、原発関連で事実確認をしていたが、質問の最中、ずっと事務方からの耳打ちを受けていた。佐藤議員が事務方に耳打ちをやめろ、出ていけ、と強く言った。見ていた私も同感であった。この程度の質疑で自分で判断し自分の言葉で答えられない人に原発対応、震災復興が可能なのか?
佐藤議員は、なぜ同心円の避難地域の設定なのかを質問した。同心円の避難地域の設定は、風向きの配慮がまったくされていなかった。したがって、風向きにより放射線量の多かった地域にわざわざ避難させられた住民も多い。風下にはいかないというのは自衛隊隊員であれば常識らしい。一般の方がそれを知らないとしても、官邸に進言はあったはず。石波茂自民党政調会長は早くから同心円ではないとテレビでも発言していた。
国会中継を見てほしいのは、答弁する閣僚もそうだが、いかに出席者が少ないかという点だ。閣僚席はがらがらの場合が多い。非常事態ということであろうが、国会は彼らの重要な職務である。
なぜ国会中継が少なくなったのか?視聴率の問題であろうか?昨年の口蹄疫以来、政府にはどこかうしろめたさがあり、国会中継が支持率や選挙への影響が大きいと見たのではないだろうか。
とにかく昨年の口蹄疫の時の国会や委員会はひどかった。自民党議員に対する野次もひどかった。それを見せたくないという思惑が政府にあり、コントロールされたのであろうか。
東日本大震災以後、それは、さらにひどいと感じていた。
しかし、NHKの国会中継は頻度が増えているような気がする。NHKのニュースや解説でも、某民放のような政府擁護をしなくなったような気がする。(以前はしていたと思う)
インターネット上で衆議院も参議院もその様子をノーカットで見ることができる。長時間にわたる場合が多いので、見るのも大変だが、一見の価値はある。
佐藤議員の事務方にどなったことのみが、毎日新聞で報じられた。佐藤議員がキレてどなったというニュアンスである。この記者はその場にほんとうにいたのか。前後がわかればキレて当たり前である。生まれ故郷である故郷が蹂躙されているような感覚を佐藤氏は持っていると思う。昨年の口蹄疫でもいいかげんな政府の答弁や対応に似たような思いをした。
農林大臣の外遊時に感染は5,000頭から50,000頭に急増、補償のありかたや、補償金に対する非課税の決定も遅かった。
ましてや、今回は多くの人命がかかっており、避難者の生活が、将来がかかっているのだ。事務方に細かく聞かないと答弁できない首相は、良心のかけらでもあるのなら、即刻退場してほしい。
代わりに誰がなるのかという議論もあって、今の首相がゾンビのようになっている。
ゾンビに国を、われわれの将来を託すのはありえない話である。