ここからは、イザナキ・イザナミが、話の主人公となり、
国生み・神生みの話へと進んでゆきます。
磤馭慮島(おのごろじま)・・・
12 イザナキ・イザナミ 二柱(ふたはしら)
天浮橋(あめのうきはし)の 上に立ち
共に計らい 話し合う
「この下の土地に 国よあれ」
13 即ち 天之(あめの) 瓊矛(ぬぼこ)をば
指(さ)し下(おろ)しては 掻(か)き探(さぐ)る
ここに海原(うなはら) 探(さぐ)り出し
矛(ほこ)を抜き取り 持ち上げる
14 矛(ほこ)の先より 滴(したた)る 塩
凝(こ)り固まって 成れる島
磤馭慮島(おのごろじま)が できまして
二人は そこに 天下る
解説・・・
古事記にも、オノゴロジマ(字は淤能碁呂島)があります。
私は、ガイドの時、この島を、天と地の間の、
宇宙ステーションのようなもの、と説明しています。
私の仲間の、あるガイドは、これは地球誕生のことで、
オノゴロとは、自(おの)ずから転がる、の意味で、
即ち古代の日本人は、
地球が自転してるのを、知っていたのだ、と話しています。
男子先唱(だんしせんしょう)・・・
15 そこで夫婦の 契(ちぎ)りをし
国生みせんと 励みます
柱の前から 左右(ひだりみぎ)
分かれて回り 裏で会う
16 その時 先に 女から
声をかけて 言いました
「まあ嬉しいわ 良い男
巡り合えて 嬉しいわ」
17 男は これを 喜ばず
「ほんとは 先に 男から
声をかけるが 道理なり
だから もう一度 やり直そう」
18 今度は 先に 男から
声をかけて 言いました
「やあ嬉しいな 良い女
巡り合えて 嬉しいな」
解説・・・
「女は男に従うべし」という儒教の教えに沿っている、と言われています。
即ち、この頃、儒教も日本に伝わっていたのです。
夫婦の契り・・・
19 男は 女に 問いかける
「そなたの体 いかに成る」
女は 男に 答えます
「雌(め)の元(はじめ)が ありまする」
20 男は それを 喜んで
「わしは雄(お)の元 (はじめ) 持っている
これを そなたの 雌(め)の元(はじめ)に
合わせてみよう」と 言いました
解説・・・
古事記も全く同じ内容ですが、表現は、私は古事記が好きです。
即ち、古事記は、次の表現です。
「わたしは、成り成りて成り合わざる所がひと所あります」
「俺は、成り成りて成り余る所がひと所ある。
俺の成り余る物で、お前の成り合わざる所を、挿(さ)し塞(ふさ)いで、
国を生もうと思うが、どうか」「それは好い事ですねえ」