2011.3.21
「わぁ、今日は予約でいっぱいだね、お母さん」「今日は金曜日だからね、満席だよ。お父さんもバッチリおいしいもの、新鮮な魚を仕入れたみたいよ。ねぇ、お父さん!」「そうだな、自慢の料理を楽しんでもらわなきゃ。娘を育てるにもがっちり稼がなきゃ」・・・港町の近くの店でそんな会話が飛び交っていたかもしれません。3月11日(金)14時46分の地震で、その料理屋さんが全キャンセルされるどころか、仕込んだ料理もろとも店そのものを津波で流されたかもしれない。もしかしたらその経営者家族もろとも・・・。あり得る話です。
それに比べると、瓶1本、皿1枚割れなかった『みやこんじょ』は・・・。その『みやこんじょ』は11(金)、12(土)とキャンセルで静かでしたが、13(日)には何ごともなかったようにお客さんが戻りました。ちょっと安心したのもつかの間、13(月)からが大変なことになりました。致命的な計画停電が発表されたのです。14,15,16日と4日間でことの深刻さがわかりだしました。帰るための電車を確保するためにお客さんが『みやこんじょ』に来なくなったのです。売り上げだけでその月その月を回していた経営に翳(かげ)りが見え始めました。
ここで腹をくくって金策に走りました。クレジットカードや生命保険からの借り入れ申し込みを開始。お客さんが来ないことを考えて、月内の支払いに要する資金をン百万単位で準備しました。あ〜あ、3月決算前に傷をつけてしまいました。でもこれで、今月は乗り切れそうです。しかし、これが来月、再来月とお客さんが来ないとお手上げでしょう。これは、ウチだけの問題ではなくて経済全体と言っても過言ではないのです。あるお客さんの会社では、ホテルでの億単位のパーティの中止、それにかかるキャンセル料がかかる云々とか、デパートや商業施設の繰上げ閉店などの集客激減は、被災地を助けるつもりの我々が、それどころではない状態に陥る恐れを孕(はら)んでいます。
消えていたお米やトレットペーパーが店頭で見られるようになりました。連休明けからはガソリンも買いやすくなるようです。コンビニやお店も一般家庭と同じようにこれからも節電を続けて、計画停電をせずにすむようになりますように。計画停電のなかった19(土)、20(日)に多くのお客さんを迎え入れられたことで、まだまだ『みやこんじょ』は大丈夫と確信したのでした。