ソウルに行き、出版関係者とのミーティングを行ない、その夜は懇親会であった。二次会は梨泰院(イテウオン)のカラオケクラブで、相当に盛り上がり、いざ帰路へ。両手に海苔のお土産をもらい、タクシーを止めるべく数名で歩道を歩いていたときに、躓いたか滑ったかで、転倒した。
というよりもあまり覚えていなかった。次第に思い出すのだが、一緒にいた方に聞く限りは屋台の土台にしてある板状のものに顔をぶつけたようだ。自分の歯で下唇を切った。けっこう出血したようで、タクシーで某大学病院のERへ運ばれた。
医者に行くほどのものでもないような気がしていたが、半ば強引に連れて行かれた。
病院では、簡単に問診を受けた(といっても通訳してもらったが)。その後、顔以外、頭、首、胸、足なども診てもらい、その後CTスキャンへ。そしてレントゲン。後は待合室で待つのだが、次々に患者が運ばれてくる。顔を血だらけにしたサウナ着のおばさんや、救急車のストレッチャーで身動きしない人など、状況は分からないが、その家族が駆けつけたり、外に誰かを迎えに行ったりとあわただしい。
CTスキャンやレントゲンの結果は問題なかった。その後、処置室で唇を洗浄し、縫合。内側を5針、外側を5針縫ってもらった。クレジットカードは便利である。もちろん、病院の支払いもカードで済ませたが、付帯している旅行保険が頼もしかった。待合室でネット検索し、窓口になっている米国のフリーダイヤルに電話。日本語で対応。領収書をもらってくれ、10万円未満であれば、診断書はいらないなど適切なアドバイスをくれた。
結局100万ウオンほどかかった。日本円で約8万円くらい。
3時ごろ行って4時にはホテルに戻った。ある意味あっという間であった。
日本に帰り、友人の医者に診てもらったが、縫合などはとてもきれいにしてあったらしい。また、すぐに病院に行ったことで直りも早いし、不要な心配もせずに済んだと、ERに行ってよかったと言ってくれた。あの時、強引に連れていかれなければ、どうなっていたかと思うと、連れて行ってくれた人たちに感謝である。
もし一人で転倒していたらどうなっていたか、と思うと強く反省している。
一方でメディカルツーリズム(医療観光)を売りにしている韓国。その技術を垣間見た経験だった。