東京に所用で来たが、打ち合わせ等のたびに、宮崎は大変ですね、と声をかけていただく。
確かに、昨年の口蹄疫に始まり、今年に入っては鳥インフルエンザ、そして新燃岳の噴火と大災害が続いている。
鳥インフルエンザの前に、韓国の口蹄疫は宮崎でも大きな問題であり、特に畜産農家は緊張を続けていた。
宮崎空港はずっと消毒マットを配備しているし、畜舎の入り口には消毒用の石灰が撒かれていた。
鳥インフルエンザが流行しだして、消毒ポイントもあちこちに設置され、多くの人が日夜対応をしていた。
1月27日以後、数回の爆発的な噴火があり、火砕流や土石流といった大きな被害はない。しかし、大規模な降灰という宮崎の人がこれまで経験していなかった被害は広範囲に広がっている。
風向きのせいで、都城市、高原町、日南市、串間市が当初被害を受けていたが、さらに小林市や宮崎市、西都市、綾町なども被害を受け始めている。
降灰は人々の日常生活に大きな影響を及ぼしている。洗濯物が干せない、目やのどが痛いといった生活の基本的な面はもちろん、屋根や庭に積もった灰の始末に困り、特に屋根の灰は家屋や小屋の倒壊といった危険性もはらんでいる。
屋根の灰を降ろそうとして屋根から落下、大けがをする人も続出。太陽と緑の国のキャッチフレーズどおり、豊富な日照を利用したソーラーパネルも稼働が悪くなったり、損傷したりと散々である。
そして、口蹄疫以上に、農業に大きな影を落としている。露地ものの野菜はほとんどが灰をかぶっている。この灰は酸性で、けっして普通の野菜等には歓迎されるものではないという。仮に、今生育している野菜をあきらめたとしても、土壌自体が酸性になれば、土壌改善をしないといけないそうだ。
この火山灰は遮光性も強いらしく、ビニールハウスが暗くなり日照の問題が出てくるらしい。キュウリ農家には既に大きく影響が出ているという。4月から出荷するマンゴーも被害を受ける可能性が大である。
先日、日南市のミカン農家に行ったが、ビニールハウスの空気取り入れ口から灰が入ってきて、ミカンに灰が付着したそうだ。
この火山灰は酸性が強いだけでなく、とがっているらしい。このとがった部分が野菜や果樹などの葉を傷つけ、そこから菌が入って腐食していくこともあるらしい。
宮崎市内の八百屋で降灰被害を受けた野菜が売られていることがある。外側の葉を剥いてしまい二周りも小さくなった白菜が30円とかで売られている。
高原町、都城市は土石流の心配もあって、避難勧告がいつ出されるかわからない地域がある。自治体職員は二十四時間体制であり、地元の建設業も降灰処理の作業に忙殺されている。父兄が小学校の校庭の灰を取り除いたり、ボランティアが高齢者の住宅の屋根の灰を落としたりといろいろな人が動いている。
降灰については、桜島を持つ鹿児島からロードスイーパーが貸し出され、遠くは北海道から国交省のロードスイーパーが貸し出されて活躍している。
おなじ自然災害でも、台風は数日で通り過ぎてしまう。この火山噴火というものは予測が立たない。いつまで続くのかという不安は人々を本当に暗くしてしまう。
風評被害とは言い難い面もあるが、霧島地区の宮崎県関係の宿泊施設のキャンセルは既に一万泊以上になっている。宮崎の農産物も同じような目で見られるのか。風評は立たなくとも、出荷総量は確実に減少するだろう。せっかく作った販路をおかしくする可能性は高い。
結局、われわれはどうすればよいのだろう。私の業種は直接的な被害を受けることはない。間接的には農業関係やホテル関係のお客さまも多いので、影響を受けるであろうが。口蹄疫の際は、われわれ素人がなにかできるというものではなかった。そこで、われわれでできる募金の仕組みを考え、実行した。IT関連の会社5社が協力して四百万円を募金できた。
今の降灰被害地はこれから噴火がないとしても、元に戻るのに、相当な人力と資金が必要である。やはり募金だと思う。
もちろん、県の募金活動を紹介し、募金をしてもらうように働きかけることはできる。でも、なにか、もっと動機をつけて募金を促すものはないかと考えている。
口蹄疫の時のようにバッジを販売するのもよいかもしれないが、なにか、宮崎らしい募金活動はできないだろうか。
口蹄疫の時にいろいろな企画やイベントが実行され、たくさんの浄財が集まった。今回は直接的な、人や動物の生死が関わっていないために、どうしてもイベントはやりにくさを感じる。
いったいなにがよいだろうか。数日の間に考えて実行したいと思っている。
やはり募金を。