名古屋はわたしにもわたしの家族にも縁がなかった。
父親の弟が蒲郡という名古屋から電車で1時間程度のところにいたのと、母親のいとこが春日井市にいた。
寮に入ることになったが、寮はやめとけというアドバイスが誰かからあった。思想的な面でめんどうくさいぞ、ということだった。その先入観があったからか、入寮してみると、雰囲気が変だった。自分の部屋にいつも誰かが入って勝手にテレビを見ている(テレビを持ち込んでいるのは少なかった)。
やたら人の領域に入り込んでくる。二人一部屋だが、いつも4,5人部屋に来るのだ。同室の先輩が人気者だったのかもしれないが。
入学式の前にオリエンテーションが大学であるのだが、勧誘も多い。一番多いのはクラブ活動。その次に多かったのが宗教、思想からみ。田舎者のためか仏教系のグループにかかわってしまった。その連中はどちらかというと右系で、寮を取り仕切っている連中は左系だったため、寮はいないほうがいい、たいへんな目にあうぞ、といわれた。これがとどめで寮にいたくなくなった。同時に風邪をひいてしまい、高熱が。
結局、蒲郡の叔父のところに転がり込むことに。
1ヵ月後正式に退寮し、母方のいとこのご主人の実家の近くの下宿にお世話になることなった。