昨日、日刊ゲンダイが次のような見出しの夕刊紙を発行した。
「東国原浮かれ知事に天罰」
「口蹄疫大被害と疫病神知事」
「お笑い芸人失格人間を知事に選んだ宮崎県民に責任があるのに国の税金で救済は虫が良過ぎないか」
結局、東京での認識とはこういうものなのだろうか。
これを書いた記者、編集者には、宮崎の現場に来て実情を見てもらいたい。
現場では少なくとも獣医に対し不満を持ち、県や町の初動に不満を持っているとは思えない。急拡大したのはゴールデンウイーク中である。殺処分を決めても埋却できない状況が続いたせいである。なぜ埋却できないかというと、埋却場所の確保、要員の確保である。
県知事が5月1日に自衛隊に出動要請して、処理能力は進んだようだが、殺処分する獣医も含めとても十分といえる体制ではなかった。国への要請は行なわれたが、大臣と政務官は外遊をとりやめることなく実行。決定方式を新政権を変えたので、この状態で大臣が言うように「問題なかった」と言えるのだろうか。
報道機関の対応も疑問だ。赤松大臣が宮崎で会見するまで、まったく報じられない。大臣が会見した翌日からは大々的に報道されはじめた。しかし、どちらかというと政府の対応の問題を隠し、正当化するもの。
先週からは、獣医の報告が遅れたとか、県や町村の初動の遅れという報道に偏向している。
現場の畜産農家のブログはそのつらい思い、悲惨な状況を報告してくれている。
ムッチー牧場5月10日のブログ
まるみ豚まるみ的日記
kaiolohiaさんブログ
現場からの報告 川南町職員
養豚場からの投稿(47news)
今、東京のマスコミは発生直後の見逃し、初動遅れということに話題を集中させている。5月19日付の宮崎日日新聞によれば、4月末 12例 殺処分対象4,369頭であったのが5月9日に50例を超え、その1週間後の16日に100例を突破。昨日の時点で126例ということを考えると、連休中とその後1週間に加速度的な拡大があったのだ。
仮に、今マスコミが言っていることが正しいとしても、その後の対応を国レベルで一気に抑えこめばここまで拡大しなかったのではないか。
確かに現場レベルでの初動の遅れはあったのかもしれない。というより、組織は指揮体系がしっかりしていないと遅れるのは当たり前だ。しかし現場の人たちはそのなかでできるだけのことをしっかりとやられてきたのは間違いない。東京のマスコミも政府もそれを論点にしないでほしい。しかし、今回の口蹄疫は国レベルで抑えないといけない、それだけのレベルのものである。県知事はそういうことで、4月23日に赤松農林大臣に陳情に行っているのだ。この段階で国レベルでの対応にすべきだった。前線の部隊を見殺しにしたのと同じである。そういう指揮官には誰もついていけないだろう。
昨日、ある農家と話をした。まだ発生件数が少ない地域の農家。すでに周りは疑いが出ている。しかし、彼はこういった。
「発生するまでは一所懸命対策する。きっと感染するだろう。でも今、これをしなければ一生後悔する。」こういった意気を国は、政治家はくみ取ってほしい。そして東京のマスコミも正しい目で見てほしい。