豊玉姫の出産・・・
210 話 変わって トヨタマ姫
波風 強い 日を選び
妹 である 玉依姫(タマヨリヒメ)
伴い 海辺に やってくる
解説・・・
玉依姫(タマヨリヒメ)を伴ってやってくるのは、
日本書紀だけに、書いてあります。
211 いよいよ子供を 産む時に
トヨタマ姫は 申します
「私のお産 する姿
どうか 見ないで 下さいね」
212 しかし ホホデミ 我慢できず
そっと のぞき見 してしまう
トヨタマ姫の その姿
竜(りゅう)に 化身し 産んでいた
解説・・・
日本書紀は、竜ですが、古事記は、鰐(わに)と書いてあります。
213 トヨタマ姫は 恥じ入って
「こんな 辱(はずかし)め 受けぬなら
海と 陸とを 通い来て
いつまでも共に 暮らせたのに
214 もはや 仲良く 暮すこと
かなわぬ事と なりました」
そして 産んだ子 茅(かや)に 包み
海辺に 置いて 帰ります
215 こう言う訳で 赤子の名
変った名前を つけました
彦波瀲武(ヒコナギサタケ) 鵜草葺(ウガヤフキ)
不合尊(アエズノミコト) と言う名です
ヒコホホデミのお墓・・・
216 時が 久しく 経って後
ヒコホホデミは 亡くなられ
日向(ひむか) の 高屋(たかや) 山の上
手厚く 埋葬 されました
解説・・・
日本書紀では、ヒコホホデミの墓は、
日向(ひむか)の高屋(たかや)の山の上 と記されています。
古事記には、高千穂の山の西と記されています。
この比定地も、鹿児島、宮崎の、あちこちにあります。
ウガヤの子供・・・
217 ウガヤが大人 になった時
育ててくれた 叔母さんの
タマヨリ姫と 結婚する
そして子供を もうけます
218 まず彦五瀬(ヒコイツセ) 次に稲飯(イナヒ)
次に三毛入野(ミケイリノ) 次に神武(ジンム)
天皇となる 神日本(カムヤマト)
磐余彦(イワレヒコ) が 生まれます
解説・・・
日本書紀と、古事記とでは、
兄弟の名前が微妙に違いますが、ほぼ同じです。
ウガヤのお墓・・・
219 時が久しく 経って後
ウガヤの尊(みこと)は 亡くなられ
日向(ひむか) の 吾平(あひら) 山の上
手厚く 埋葬 されました
解説・・・
日本書紀では、ウガヤの墓は、
日向(ひむか)の吾平(あひら)の山の上、 と記されています。
古事記には、記述がありません。
これで、第二巻、即ち、神話は、おわりです。