今、宮崎県立美術館で開かれている『コレクション展』に私の大叔父・時田良太朗の作品が飾られていると聞き、行って来ました。
大叔父は私の祖父の弟にあたります。大分県佐伯市の出身です。今の宮崎大学農学部の前身、宮崎農専を出て東京で中学校理科の教師となりますが、画家を志し渡米。
若手のアーティストが集まったニューヨークのSOHOで絵の修行を続けたそうです。現在はアメリカペンシルベニア州在住です。一度叔父の家に行ったことがあります。アパラチア山脈を望む広々とした土地にログハウス風のアトリエを建てており、庭には青々とした芝生とりんごの木。アパラチア山脈を見ながらテラスでバーベキューをしたという思い出があります。ずいぶん高齢の叔父ですが、朝は6時頃起きて朝食後は散歩。そして午前中いっぱい制作活動にいそしみ、昼食後少しゆっくりしてからまたアトリエにこもるという非常に厳しい生活をしている姿に尊敬の念を抱いたのを覚えています。
展示されているのは叔父が長い間テーマとして取り組んでいる『生』シリーズ2点。数年前、宮日会館のギャラリーで個展を開いた際、宮崎ゆかりの画家の作品ということで
宮崎県立美術館で収蔵していただきました。
アクリル画・淡い色彩の点描で、真ん中にすっと通ったラインの奥にさらに世界が広がっているという、見ていると不思議な感覚に包まれる作品です。私はなんとなく癒しの力を感じます。アメリカという異国の地で、たった1人でアトリエにこもり、とことんまで生と命に向き合いつつ生み出された作品なのだと思います。
県立美術館に叔父の作品があるということは知っていましたが、実際に展示されているのを見るのは初めてです。大きな絵なのでこういった広い場所で、しかも専門の方の照明ですから余計に作品の良さが引き立っていると思います。今回は『色彩と表現』という展示方法で、他の収蔵作品とともに展示されています。入場料は無料。4月10日までです。