海神(わたつみ)の宮・・・
188 立派な垣根が 取り囲み
輝く 御殿の 宮でした
門の前には 井戸があり
井戸の上には 桂の木
189 ヒコホホデミは 木の下を
ヨロヨロ歩き 回ります
しばらくすると 門の戸を
開いて乙女が 出てきました
190 乙女は井戸に やってきて
器に水を 汲む時に
ふと ホホデミに 気がついて
驚き すぐに 宮に戻る
191 乙女は 声を 弾(はず)ませて
その父母に 話します
「珍しい客 お出でです
門の木の下に おられます」
解説・・・
古事記では、桂の木の上に、最初、侍女が発見しますが、
上記のように、日本書紀では、木の下で、最初、トヨタマ姫が発見します。
釣針発見・・・
192 海神(わたつみ) すぐに 客人を
恭(うやうや)しくも 迎え入れ
八重の 畳(たたみ) に 坐らせて
訪問の 趣旨 お聞きする
193 ヒコホホデミは 来た訳を
こと 細やかに 話します
話を聞いた 海神(わたつみ) は
大小の魚 集めます
194 海神(わたつみ)の問いに 魚たち
声を揃えて 答えます
「赤鯛(あかたい) この頃 口の中
病気のために 来られません」
195 それで 赤鯛(あかたい) 連れて来て
口の中をば 探ります
思った通り その中に
無くした釣針 見つけます
解説・・・
古事記では、三年経ってから、釣り針発見となりますが、
上記のように、日本書紀では、最初に、釣り針発見となります。
三年滞在・・・
196 ヒコホホデミは 安心し
会った乙女と 結婚す
乙女の名前は 豊玉姫(トヨタマヒメ)
そして 宮で 暮らします
197 楽しい時を 過ごすうち
あっという間に 三年目
ふと思い出す 故郷(ふるさと) を
そして溜め息 つかれます