ここからは、出雲神話の中の、国譲りの話になります。
日本書紀では、巻の第二、神代編の下(しも)の始まりです。
111 アマテラスの子 オシホミミは
高皇産霊(タカミムスヒノ) 尊(ミコト)の娘(こ)
タク幡(ハタ)千千(チヂ)姫 と結婚し
子供を一人 設(もう)けます
112 天津(アマツ)彦彦(ヒコヒコ) 火瓊瓊杵(ホノニニギ)
尊(ノミコト)と言う 名をつける
この子を皇祖(みおや)の タカミムスヒ
特に可愛がり 育てます
113 タカミムスヒは 時が経ち
ニニギノミコトを 押したてて
下の 葦原(あしはらの) 中国(なかつくに)の
王にしたいと 望みます
114 しかし下の国 いかんせん
蛍火(ほたるび) の神 騒がしく
蝿(はえ)のような神 騒がしく
草木も うるさく ものを言う
解説・・・
ここも、日本書紀と、古事記とでは、かなり違います。
上記、日本書紀では、外祖父のタカミムスヒが、
ニニギを地上の王にしたいと、切望したことになっています。
一方、古事記では、アマテラス自身が、自分の子孫こそ、
地上の王になるべきであると、宣言します。
どうも日本書紀は、当時、天皇よりも権力のあった、
藤原不比等におもねっているように見えます。
上記、112に、タカミムスヒを皇祖(みおや)と呼ぶのも、
怪しげです。
本来、この尊称は、外祖父につけるべきではないからです。